淮安市は西が高く、東が低い地形となり、域内南西部の盱眙県に山地や丘陵が若干分布する以外、平野を主体とする平坦的な地勢である。市域内には、河川と湖が入り交じり水系が互いに交差しており、京杭運河・淮沭河・蘇北灌漑総渠・淮河入江水道(長江に注ぎ込む川筋)・淮河入海水道(黄海に注ぎ込む川筋)・古黄河・六塘河・塩河・淮河本流といった9本の河川が縦横に流れていて、中国の五大淡水湖の一つである洪沢湖のほとんどが市域内に広がるほか、白馬湖・高郵湖・宝応湖など中小型の湖も点在している。総面積のうち、69.39%が平野、11.39%が湖、18.32%が山地と丘陵地帯である。
土地資源
黄淮平野と江淮平野に位置する淮安市の総面積がl.029万平方キロメートルである。2012年末までの全市の耕地面積が47.24万ヘクタールとなり、そのうち水田の面積が34.99万ヘクタール、畑が11.68万ヘクタールを占める。芝生面積が0.86万ヘクタール、交通輸送用地の面積が3.49万ヘクタール、水域及び水利施設用地の面積が29.65万ヘクタール、園地面積が2.82万ヘクタール、市町村及び工業・鉱業用地が13.53万ヘクタール、その他の土地面積が0.71万ヘクタールである。
水資源
淮安市が優良な水資源に恵まれている。淮河中下流域に位置する域内を通す河川が数多く、水路も密集しており、「南水北調」プロジェクトはほぼ規模が整う。域内の年間平均降雨流出高が199.0mm~262.5mmの間に分布している。全体的に見ると、地表水資源がやや欠如し、年間降雨量がかなりばらついており、一年中の降雨量も均一性が見えない一方、地下には豊富な水資源が貯蓄され、域内に流れ込む水量も少なくではない。
鉱産資源
淮安市の鉱産資源はほぼ集中に分布している。エネルギー資源として金湖県・洪沢区の石油と天然ガス、洪沢区老子山の地熱資源がある。非金属鉱産資源は様々な種類が分布し、盱眙県のアタパルジャイト粘土・玄武岩・苦灰岩、淮安区・清江浦区・淮陰区の岩塩、洪沢区・淮陰区の硫酸ナトリウムなど、いずれも豊富に蓄蔵されている。1988年に公表された地質調査報告書によると、247平方キロメートルの面積を持つ淮安塩盆地に岩塩が1036億トン、247平方キロメートルの面積を持つ洪沢塩盆地に岩塩が270.48億トン、硫酸ナトリウムが14.3億トン蓄蔵されている。全市における主要鉱産物埋蔵量について、無水芒硝石が2.58億トン、硫酸ナトリウム(Na2SO4)が1.85億トン、岩塩鉱石が75億トン、塩化ナトリウム(NaCl)が44億トン、アタパルジャイト粘土が7267万トンであることが2005年までの調査で明らかになった。
生物資源
適切な気候条件を揃える淮安市の広い地域で、種類豊富な生物資源が生息している。全市において、高等植物が1500種類あまり存在し、その内に34科146属の木本植物が11種類の国家重点保護植物を含め、合計234種類繁衍している。野生動物に関して、鳥類が321種類、経済魚類が83種類、爬虫類が48種類、哺乳類が49種類あり、そのうち9種類が国家一級保護動物、43種類が二級保護動物に指定された。洪沢湖の水生と湿地生物資源は、水生高等植物が81種類、魚類が67種類、底生生物が76種類、鳥類が194種類あり、そのうち4種類が国家一級保護動物、26種類が二級保護動物に指定された。
林業資源
淮安市は中緯度亜熱帯から暖温帯へ移り変わる堺地域に位置するため、樹種の分布上は南北気候帯の過渡的な特徴を兼ね備え、気候に適する樹の品種が多く揃えて林業資源に非常に富む。「十二五」計画の中期まで、全市における林地面積が340万ムー、森林の総合現存量が1650万立方メートルであり、緑被率が26.8%に達した。6本の国家一級古樹(成長期500年以上)を初めとした現存の古樹名木が全部で210本生えている。県クラス以上の森林公園が6ヶ所あり、その内に国家級森林公園が2ヶ所(鉄山寺・第一山)で、省級森林公園が1ヶ所(洪沢湖古堰)である。自然保護区が7ヵ所建設されており、中の二つが省級の自然保護区(洪沢湖東部湿地及び漣水漣漪湖カラシラサギ自然保護区)である。湿地の総面積の298.9万ムーが国土面積の19.7%を占めており、国家級湿地公園(古淮河)と省級湿地公園(天泉湖)がそれぞれ1ヶ所設立された。自然湿地保護率が46.3%となり、省内二位を占めている。
物産
淮安市は北半球の亜熱帯と暖温帯の中間地域に属するので、温度・光源・水・土地など自然資源が非常に豊富でありつつ、優越な生産条件も備えている。「魚米之郷」として広く知られた淮安市は様々な農産物の栽培や動物の飼育に適する気候条件を有し、中国重要な無公害農産物と各種副業製品の生産基地でもある。良質な稲・麦、綿、油料作物、林木、果物、家畜、魚蝦、亀・蟹、真珠などの産出が盛んであり、2012年末まで「盱眙竜蝦(伊勢海老)」、「淮安大米」、「淮安黒豚」、「淮安红椒(赤いパプリカ)」、「金湖大米」、「淮安黄瓜(キュウリ)」、「洪沢湖カニ」など地理識別証明商標(産地ブランド表示)の立ち上げの許可を取得した。
年末戸籍総人口が564.45万人、前年比4.2万人増で伸び率が0.8%である。年末常住総人口が487.20万人、前年比1.99万人増で伸び率が0.4%である。市町常住人口が283.31万人、農村常住人口が283.31万人である。常住人口に関して、出生率が11.5‰、死亡率が7.51‰、自然成長率が3.99‰と記録された。(出典:淮安市2015年度国民経済と社会発展統計公報)
淮安市の経済は平穏且つ好調な発展を遂げている。全市において、域内総生産は2745.09億元となり、不変価格表示の総生産は前年比10.3%増である。そのうち、一次産業・二次産業・三次産業の付加価値額が各々3.6%、10.9%、11.3%の成長となった。経済構造最適化の推進により、産業構造における一次・二次・三次産業の比例が前年の11.7:44.2:44.1から11.2:42.9:45.9に変わり、「二三一」型から「三二一」型への産業構造の歴史的転換を実現した。一人当たりGDPが56460元で、当年平均為替レートで換算する場合、9065米ドルに相当する金額である。
工業経済も急速な成長の勢いを維持している。規模以上(主要事業の営業収益が2000万元以上の工業企業)の工業付加価値額が1483.25億元で前年比11.5%増である。その内、国有工業付加価値額が121.33億元で4.1%増、共同工業付加価値額が4.65億元で5%増、株式工業会社付加価値額が902.83億元で12.6%増、海外・香港・マカオ・台湾資本の工業付加価値額が375.33億元で10.2%増である。また、大中型工業企業の付加価値額が658.77億元で6.8%増、軽工業企業の付加価値額が653.59億元で9.9%増、重工業企業の付加価値額が829.67億元で12.8%増である。
一方的には、産業モデル転換やグレードアップも推進加速化を図っている。「4+2」産業モデル(塩化工、特殊スチール、電子情報、食品という四大主導産業+高級装備製造、新エネルギー自動車・部品という両大戦略性新規産業)は独特な産業優位を示し、3902.80億元の年間生産高を実現し、前年比17.9%成長しており、全市規模以上工業割合が58%で前年比2.8%アップした。その中、塩化工、特殊スチール、電子情報、食品など四大主導産業の年間生産高が3452.80億元となり、17.4%の成長を遂げて規模以上工業企業総合生産高の51.3%を占める。高級装備製造、新エネルギー自動車・部品という両大戦略性新規産業は年間売上げ金額が450億元を達成しており、伸び率が21.5%である。省エネルギーとコストダウンに向ける努力が顕著な効果を奏して、1単位のGDPあたりのエネルギー消費が6.84%削減出来ており、省政府より制定された目標を完遂した。
中核企業が力強い底支えの機能を果たしている。全市には、規模以上工業企業が2511社で主要営業収益が年間6608.73億元実現し前年比16.6%増;税引前当期利益が653.66億元で前年比21.2%増;利益額が384.60億元で前年比27%増である。そのうち、売上高が100億元以上の企業は4社、50億元以上の企業は8社、10億元以上の企業は70社である。重要企業100社の売上高、税引前当期利益それに利益額が各々淮安市全体の30.9%、34.5%と39.4%を占める。
固定資産投資が急成長を遂げている。規模以上固定資産(投資総額が500万元以上の固定資産)の投資額が合計2203.24億元となり、前年と比べて22.7%伸びた。そのうち、工業投資額が1295.11億元で28.3%増、不動産開発投資額が283.69億元で20.7%ダウンした。民間投資額が1544.23億元で40.8%増、全市規模以上固定資産投資全体の70.1%を占める。全市には、投資額が1億元以上の工事中プロジェクトが725件あり、投資計画総額が2062.04億元に達し前年比28.6%増、竣工済みプロジェクトの投資額が合計1179.69億元となり、21.5%成長したと見られる。新規起工プロジェクトのうち、投資額が1億元以上のものが合計456件、10億元以上の重点大型プロジェクトが4件、5億元以上のプロジェクトが12件である。江蘇富強新材料や中興知恵産業園など重点大型プロジェクトは建設工事をスタートさせ、淮河入海水道二級航路の建設が国からの許可を取得した。
消費市場が平穏な運行を維持している。社会消費財小売総額が年間970.74億元であり、前年比12.3%増を実現した。経営業者所在地別での統計結果によると、市町消費財小売額が865.77億元で12.1%増、農村消費財小売額が104.97億元で13.1%増である。消費形態別での統計結果によると、卸小売業は874.22億元の小売額を達成して12.3%増、宿泊・飲食業は96.51億元の小売額を達成して11.4%伸びた。
外資利用の質とレベルが著しく高まっている。全市において、許可を新規取得した外商投資プロジェクトが167件登録され、外商投資協議額(登記申請時の外商投資資本金及び海外調達資金が加算した総額)が21.7億米ドルで、前年比3.4増、登録資本金の実払込額が12.1億米ドルで前年比5.1%増である。投資総額が3000万米ドル以上である新規設立プロジェクトが46件で、そのうち、13件が1億米ドル以上に達していた。敏安電動自動車・愛美森木業・大量科技など一連の重点大型プロジェクトが設立され現地に定着した。外商投資プロジェクトの新規着工件数が104件、新規竣工件数が81件である。着工済みプロジェクトについて、外貨資本の払込額が11億米ドルで、外貨資本払込総額の84.7%をしめており前年比4.7%アップした。年間の払込台湾資本が合計3.6億米ドルとなり、前年と比べ6.2%上回った。第十回台商フォーラムにて一括で契約を締結した台湾資本プロジェクトが計58件含め、15.1億米ドルの投資総額であった。
対外経済貿易額が穏やかに、且つ段取りよく成長を維持している。累計輸出入総額が41.3億元を実現できており、前年比0.6%上回った。そのうち、輸出額が30.1億米ドルで前年比4.8%減、輸入額が11.2億米ドルで前年比18.7%増である。全市で加工貿易輸出入額が17.7億米ドルで23.5%増、一般貿易輸出入額が20.2億米ドルで20.5%下落した。全市の機電及び高新技術製品はそれぞれ11.1億米ドルと4.9億米ドル相当の輸出額を達成し、23.9%と302.8%の成長率を実現した。その内、電子情報製品の輸出額が5.1億米ドルで1.4倍に拡大しており、輸出生産別での首位を確保した。年間累計対外経済貿易売上高が1.05億米ドルで前年比11%増、対外経済貿易成約高が3217万米ドルで20.2%増である。新規契約を結んだ対外工事請負プロジェクトが年間4件成立した。許可を新規取得した海外投資企業が5社で25%増、中国企業の投資協議額が3458万米ドルに達しており12.6%の伸び率を実現した。
開発園区は速やかな成長を持続している。許可を新規取得し、園区に進出する外商投資プロジェクトが79件登録され、そのうち、3000万米ドル以上に達したのは26件である。外商投資における登録資本金の実払込額が8.9億米ドルで前年比1.6%アップして全体の73.4%を占める。輸出入総額は35.8億米ドルで前年比3.4%上げて全体の86.7%を占める。
(出典:淮安市2015年度国民経済と社会発展統計公報)